ワードパレット -No.23- ?、隙間、落ちる

 大丈夫だよ、君の本来の力なら何とかできるだろう。
事もなげに、彼は言った。この人の他人を見る時の光のない瞳を知ってしまってから、彼が自分に柔和な笑みを浮かべ、目に興味の光が見えるのは、少なくとも自分を気に入っているという事だというのは分かった。酷い目に遭わされたが。ただ、この人は本当に計算しているのか、あるいは偶々なのか、心の隙間がわずかに開いたようなときにそっと自分が欲しいと思っていた言葉を与えてくれた。
この人は危険だ。
曖昧に答えて離れようとする自分の頬に手を伸ばす彼はまるで自分の合わせ鏡のようで酷く落ち着かなかった。