
ちらちらと丁度良い心地の日差しが木々の間から降ってきて、わかばは喉を鳴らした。ぱたんと尻尾を動かすと、舌を鳴らす音がして塀の下を見下ろす。よくこの辺りを通る変わった髪形の女の人がわかばに手を伸ばしてきていた。ひらりと彼女の近くの塀に降りて、可愛らしげに鳴いてみる。わかばの腹の毛をなで回す彼女の顔は満足そうだがさっきまでチラリと見えた彼女の顔は随分疲れていたようだった。わかばは気になって名残惜しげに立ち去る彼女の後を追うことにした。
「ああ人間の姿の方が良いかな……?」
半端に残ってしまう癖のある耳を帽子で隠して、わかばは自分の体をチェックして彼女の後を追いかけた。